両方のエラが赤く、透明鱗の特徴が鮮明に表現されている品種です。透明鱗を交配させる場合にも、まず両方のエラが赤い個体から選別すると、透明鱗の遺伝率が高くなります。
 
 


 虹色細胞の欠乏によってエラが赤く見えるのが透明鱗の特徴ですが、両方のエラが赤く見えるのが通常の型と言えます。片ホホ透明鱗とは、両方赤く見えるべきエラの片方に、虹色素胞が覆いかぶさることで、赤く見えなくなっている透明鱗のことです。
図1、2は一匹の片ホホ透明鱗を、両側から撮った写真です。図1のメダカのエラは赤く見え、透明鱗の特徴が出ています。図2は、虹色素胞によってエラが銀色になり、透明鱗の特徴が出ていません。


図1
 
図2 
 


 この特徴は個体差があるため、一般的に「透明鱗の特徴」として扱われていませんが、ほとんどの透明鱗メダカに特徴が現れます。「ホホ無し透明鱗」を選別する際にはこの特徴を基準に選別を行うと良いでしょう。つまり“赤いホホが確認できないが、透明鱗メダカの特徴が現れている個体”をホホ無し透明鱗と呼びます。
 図3、4はどちらも「楊貴妃メダカ」ですが、透明鱗の遺伝子がある個体と無い個体では体色に違いがあります。双方、透明鱗の特徴である赤いホホは確認できませんが、体全体の体色、尾ビレやの色合いは全く異なります。図5の透明鱗の遺伝子が入っていない楊貴妃メダカは、縁の部分にしか色が出ていませんが、透明鱗の遺伝子が入っている楊貴妃メダカは縁だけでなく中心部分にも色が入っています。
 透明鱗の赤いホホは見た目で判断でき、透明鱗品種全体に言える特徴の為、一般的に「個体のエラ部分(ホホ)が赤ければ透明鱗」と認識されています。しかし、透明鱗の特徴はそれだけではありません。透明鱗の遺伝子がないメダカと透明鱗メダカでは、ヒレの色合いが違います。
 ホホ無し透明鱗とは、片ホホ透明鱗になる原因の虹色素胞(※前途“片ホホ透明鱗について”に記載)が両方から覆いかぶさり、透明鱗の特徴である「赤いホホ」が表現されていない透明鱗メダカの事です。
 

図3
 

図4
※図3、4は同じメダカを両側から撮影したものです。
 
                

図5
                

 赤くなっているエラ部分に黒い模様がある個体がいます。これは、透明鱗の特徴の一つとして認識されていますが、黒の模様の範囲が広く、明らかに透明鱗とは違う表現がされている個体を「エラ黒」と呼ばれています。エラのみに表現されていた黒の模様が、対象のいたるところに表れ、独特の雰囲気を醸し出しています。



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