灯×三色ラメ幹之交配系統



▲オレンジ黒ブラックリムメダカ。灯×三色ラメ幹之系統から作出。体表はブラックリムの黒体色をしており、頭部の赤褐色との色合いが魅力的な個体。ラメの遺伝は少ないが、体色が魅力的なので必須ではないかもしれない。ラメが遺伝すれば多色ラメになる可能性がある。

 

○2品種の特別な形質

 近年、改良メダカの中で人気を博す品種の一つには必ず3色ラメ幹之が挙げられる。それだけ美麗な品種であり、3色ラメ幹之に潜在する未知の可能性、次の大ヒット品種が産まれる期待値の高さに魅力を感じているからだろう。そして、3色ラメ幹之並みのポテンシャルを持つ品種の一つに挙げられるのが「灯(あかり)」だ。灯とは幹之系統の中で初めて黄色素を有する品種として、2014年に徳島県の阿波めだかの里で作出されたメダカである。

▲灯(あかり) 。幹之的光を有する個体に、初めて黄色素胞を遺伝させることに成功した品種。黄色と青のコントラストが美しい。固定率が低く、作出の難しい品種の一つ。灯についてはこちら


 この2品種を取り上げたのには理由がある。総じて言えるのは、今までになかった形質の組み合わせの発現に成功した品種であること。灯は前述の通り、幹之と黄色素の組み合わせであり、3色ラメ幹之は白体色をベースに、朱赤、黒が部分的に発現する形質の組み合わせを指している。これらのことから、この2品種が今後の改良メダカに新しい表現を持ち込む可能性が大いにあると伺える。
 

○灯×3色ラメ幹之

 新しい改良メダカの作出を目指す上で、この特質な2品種の掛け合わせの結果を確認したいと思うのは自然な流れだった。結論から言うと、想像を上回る結果が出た。

 最初に目を奪われたのは、ブラックリムの形質を有する黒体色に、頭部が赤褐色に覆われた個体。灯にも3色ラメ幹之にもない表現をする個体が産まれた。3色ラメ幹之の朱赤と、頭部に黄色素が発現する灯のいいとこ取りした様な個体だ。ラメが少し発現していることや、黒体色のため多色ラメになる可能性が高いなど、期待の高い系統になりそうだ。

▲頭部が赤褐色の個体と黄色の個体の比較。頭部の色合いが変わるだけでも、メダカの印象が大きく異なる。


 次に特徴的だったのが、3色を発現する個体の多さである。3色ラメ幹之同士の交配でも、3色の形質を有する個体が産まれる確率はあまり高くない。ましてや、自分の理想とする3色が産まれる確率はさらに低くなる。そのような面において、3色を発現する個体が多く産まれた結果は、救済になりえるかもしれない。

▲様々な3色の個体、ラメを発現する個体も多い。


 最後に、ダルマ体型が多く産まれたことに驚かされた。関連についてはよく分かっていない。3色を発現するダルマ体型や、ブラックリムを有するダルマ体型などが産まれており、系統を分けて累代繁殖している。ダルマ体型の固定率が高いのも魅力の一つだ。

▲灯×3色ラメ幹之の交雑により、様々な形質のダルマ体型が産まれた。灯のような個体、3色ラメ幹之のような個体、幹之的光を有する個体など。ダルマ体型が多く産まれた経緯は不明だが、今後が楽しみな系統である。

 他にも様々な形質の個体が産まれているが、あまりにも多すぎるのに加え、まだ本当に魅力ある個体になりえるのかの検証を続けたい系統など、まだ紹介する段階に至ってない個体について控えさせていただき、灯×3色ラメ幹之についての特筆するべき3つの形質を記載する。
 

〇灯×三色ラメ幹之から産まれる様々なメダカ


▲ブラックリムと黄色素を有する個体だけを選別。灯ラメに良く似ている。これらの個体の特徴は、ヒレに黄色素が発現しやすい、またはヒレ光(ヒレに幹之的光が発現する個体)が多い。



▲灯ラメの黄色より、色の濃いオレンジ色を発現する個体を選別した系統。オレンジ色が部分的に発現する斑模様になっているのが特徴。黒との境目がハッキリとしてくればより綺麗な品種になる。

 
 

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